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終(つい)のコミュニティ

ここ数年メディアなどでも取り挙げられるようになりましたが、超高齢社会において新しいお別れの形が生まれています。

こちらは先日のご葬儀の様子ですが、式場は故人様が入居されていた施設です。

施設長や従業員の皆さんからのご提案で、介護施設でご葬儀を執り行いました。

特別な祭壇や式場を設えたわけではありませんが、故人様の人生の最後に関わった人みんなでお見送りをしました。

高齢化、核家族化、少子化に伴い、家族の形も変わってきています。

未婚の人

離婚した夫婦

親世帯子世帯で同居しない人

地元へ戻らない子世代

また、

身寄りのない人

親族から関わりを拒否されている人

ジェンダーマイノリティの人

など、生き方そのものが多様化してきています。

これまで「普通」とされてきたことは普通でなくなりつつあり、むしろこれからは今まで普通でなかったことが普通になっていくのだと思います。

お葬式といえば、それこそ究極に保守的な分野の1つで、多くの人がなんとなく

「こういうものなんだろう」

という認識でいるものだと思います。

でも、もしかしたらお葬式こそ今1番変化が進んでいる分野かもしれません。

ライフスタイルの変化をはじめ、経済的な事情の変化や価値観の変化など、社会的な変化を大きく受けているのがお葬式です。

超高齢社会になった現在、上記のような理由で簡素に見送られる高齢者の人が増えています。

最近生まれてきている形としては、

「終(つい)のコミュニティ」

という考え方ではないでしょうか。

遠くの家族、疎遠な親族よりも、近くの支援者や自分と同じ環境の人たちをコミュニティとして過ごすのです。

年齢を考えれば順番になることはみんなが理解していますが、誰かを見送ることで自分も見送ってもらえることが分かり安心できますし、

死ぬことが命として必然的なことであり自然なことだと受け入れやすくなると思います。

血が繋がっていようとも血縁であろうとも、毎日一緒に過ごしている人ほどには本人の気持ちはなかなか理解できないと思います。

そういった意味では、介護をしたくてもなかなか自分ではできないご家族にとっても心強いですよね。

今回のご葬儀は特に特別なことはしていません。

奥様、お子様と施設の従業員みんなで献花をしてお別れをしただけです。

必要以外のことはせず、手間や労力もまったくかかっていません。

葬儀費用もこれまでの感覚でいたら驚くくらいのものです。

それでもお子様は

「こんなにしてもらえてすごく嬉しかったし、父も本当に喜んでいると思います。」

とおっしゃっていました。

お子様が満足していただけることは、グリーフケアにも繋がります。

今までの普通とはあくまで「今まで」のものであって、やろうと思えばいくらでもやれるんだということを教えていただきました。

とても貴重な経験でした。

そして、介護施設にこのレベルをされてしまったら、それこそ「普通の葬儀社」はこれからどうするんだ。。?とも思いました。